陶芦澤展

4月27日からスタートした『陶芦澤展』。

 

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おかげさまですでに多くの皆様にご覧頂き、すでに何点か皆様の食卓へ旅立って行きました。

 

 

今日はここで”陶芦澤 / 芦澤和洋をご紹介します。

 

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芦澤さんが工房を構えるのは、富士山の麓、そして清流富士川のほとりの自然豊かな場所。

晴れた日には、青空と、背景の緑を青々と写す水面が本当に綺麗なところです。

 

川のそばなので、冬はそれなりに冷え込むそうですが、

夏は川に沿って流れる風が吹いてとても心地いいそう。

 

 

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そんな場所で工房を独立・スタートさせたのが2006年。

それまでは、京都精華大学で陶芸を専攻、

卒業後は環境造形や、練り込み作品、壁面などの第一人者、陶芸家會田雄亮に師事。

 

現在は自身の工房でスリップウェアを中心に作陶。

 

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そして同じくらい植物へ愛情と時間を割いている、そんな芦澤さん。

 

工房の隣では奥様がクラシックバレー教室を。

その隣ではご両親がお蕎麦やさんと営む、なんとも心温まる環境です。

 

 

作品の良し悪しの肝はとにかく土だそうです。

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芦澤さんは、日本全国の土を試した結果、作品との相性から瀬戸内の土を使用。

 

まずは土の中の水分量が均一になるように荒練りと呼ばれる手法で全体に練り込みます。

 

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やはりそれなりに土は硬いので、全身・全体重をかけて力強く練り込み。

 

静寂な工房に、土が練られる音と、芦澤さんの吐息が小さくこだまします。

 

水分量を均一にした後は菊練りと呼ばれる手法で土中の空気を抜く作業。

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荒練りは全体を2つに畳みながら練っていきますが、

菊練りは半分ずつすり減らすように中の空気を抜いていきます。

実際に”パンッ”を弾ける空気。

空気が中に存在するまま焼いてしまうと、空気が膨張して作品が割れてしまうので、かなり大事な作業。

 

練りが終わる頃には額に軽く汗が光る程。

 

一番の力仕事が終わればここからは繊細な作業。

僕たちが陶芸というとろくろや手びねりでの形成を思い浮かべますが、

芦澤さんの作品は石膏で作られた方を使った手法で形成します。

 

 

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この土の両脇にある木材が”タタラ”と呼ばれる道具で、このタタラを使用して均一にスライスされたベースを切り出していきます。

 

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このタタラに沿ってテグス?針金?を通すと綺麗にスライスされる仕組み。

 

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このように驚くほど綺麗にスライスされます。

 

このタタラにいくつも種類が存在し、それを組み合わせたり使い分けることで異なる厚みの基板を作るそうです。

 

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切り出した後はさらに均一に整えるために先ほどのタタラ&棒でコロコロと転圧。

この作業で、切り出しの際の歪みやひずみを減らしていきます。

その間にも細かな石やゴミを取り除いたりと、

やはり素晴らしい仕上がりには、徹底した下準備が重要だそう。

 

 

いよいよ基板ができたら、模様付けに入ります。

 

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まずは先ほどの基板にベースとなる釉薬をたっぷりと。

今回はブラック&ホワイトの色付けのため焼き上がりにブラックになる釉薬を使用しています。

 

釉薬にはマンガンやコバルトなどの酸化金属が含まれていて、それが焼き上がりに豊かな発色を生み出します。

 

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余計な釉薬を拭き取ればフェイスはこんなにもグラッシー。

 

ここからはいよいよ模様付け。

 

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芦澤さんの作品は主にスポイトを用いてフリーハンドで描かれます。

 

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これは黒と白、のちに市松模様になる配置。

釉薬を垂らしたすぐはこんなにもぷっくりとしています。

これも計算の上。

 

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釉薬を配置し終えると、平行に注意し振動を加えていきます。

 

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すると…

 

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円を描いていた釉薬が広がりつつ、つなりの釉薬をぶつかりつつどんどん市松模様に近づいていきます。

 

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全て下書きも一切ないフリーハンドの一発勝負。

また釉薬が横に流れることまで完全に計算された途方もないスキルで模様が描かれていきます。

 

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まったくやり直しの機会ない一発勝負かつ、微妙な振動で仕上がりが変わるので、一つとして同じものがありません。

 

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このように細かな模様付けもフリーハンド。

このひょうたんもよく見れば一つ一つ形が違うのが妙にリアルなのです。

 

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模様付けを終えた基板は乾燥へを経ていよいよ形成へ。

 

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このような石膏で形作った型を使用して様々な器へ形成されます。

 

芦澤さんらしい、ユニークなキャラクターが特徴の器たち。

 

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やはり一つ一つ丁寧にそれぞれの形に作られていきます。

 

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まずは乾燥した基板を大まかな型に合わせて縁取っていきます。

 

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縁取った基板を型に合わせて〜

 

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くるりと。

さらに型に合わせて形成。

 

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さらには砂を入れた袋で、力が均一に入るように叩いて形成。

 

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専用のカッターで余白をカット。

 

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カットしたエッジを滑らかに調整。

 

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するとこんなにぷっくりの器の誕生です。

 

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最後に印を押して完成。

 

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丸みを帯びた可愛らしい器の出来上がりです。

 

この先、素焼き〜本焼きには立ち会うことができませんでしたが、この器が焼きあがるとこんな風に。

 

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ブラックも俗にいう完全なブラックではなく。

夜の暗闇も以外に漆黒ではない、そんなイメージでしょうか。

 

芦澤さんの描く模様も、完全に何かをイメージしたものもあれば、かなり抽象的なものも。

 

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ぜひ実際に手にとってその質感と、器に広がる小宇宙をお楽しみ下さいませ。

昨今は無地のシンプルな器がブームだそうで、芦澤さんの作品のような柄ものは少し敬遠されがちですが、

無地の中に投入すると独特の存在感と、意外な”馴染み”を見せてくれるはずです。

 

 

 

STANDARSTOREは連休後半も無休で営業継続です!

(次回の定休日は7日火曜)

 

ぜひ皆様のご来店心よりお待ちしております。

 

明日も波残りそうですね!

 

では〜〜〜

 

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個人的には海碧にあるクラック『貫入』に夢中です。